「ナイフ研ぎ」と「燻製」でオレはワイルドな男になれたのか?
人は皆、「ワイルド」という言葉に憧れに似た感情を持っているような気がする。
子供だろうが大人だろうが、田舎に住んでいようが都会にすんでいようが、男だろうが女だろうが、身体ひとつで大自然に立ち向かうワイルドなヤツになりたいと思っている。(たぶんね)
そう、無人島に一人で漂着しても生き延びられるような逞しいヤツに。(そうだよね)
例えば、森で熊に襲われても返り討ちにして、今夜は熊鍋だぞと獲物を担いで笑顔で帰宅するようなヤツに。(そこまでは思わないか)
まあ、憧れはあったとしても、現代で実際に「ワイルド」を行動に移すのは難しい。
自分のチカラを試す為に、森やジャングルに行くのも周りに止められるだろう(笑)
過酷な現場にワイルドな「自分」を登場させたいが、なかなかそうもいかない。
ソロキャンプが流行っているのは、もしかしたらそういう気持ちが根底にあるのではないかと最近思っている。
今日はオレのささやかな「ワイルド」話を2つしよう。
1つ目。
先日、倉庫を整理したときに、オレが子供の頃に使っていた折り畳み式の小型ナイフが出て来た。
これで、えんぴつを削ったり、工作の時に使っていた記憶がある。
30年の時を経て見事にサビていた。
ナ・イ・フ
なんというワイルドな響き(笑)
太古の昔から、石を打ち欠いたりして作ったナイフはあった。
獣の皮を剥いだり、肉を切ったり、木や枝を削ったり切ったりしただろう。
なんなら肉を切り分けてそのまま口に運んだりもしていたに違いない。
現代人が、キャンプの時に火を囲んで、ハムの塊を小型ナイフで切り取って食べるように。
そして、いつの時代も、切れなくなったらナイフを研いでいたことだろう。
この竹虎ナイフDXという名前のナイフは、ひどくサビが出ていたが、今は亡き父が買ったと思われる新品のオイルストーンという砥石も倉庫から見つかったので、研いでみることにした。
少量のオイルを足しながら表と裏を丁寧に研ぐ。
どちらかを研ぎ過ぎると反対側にバリが出る。
指の腹でそのバリを確かめながら研いだ。
あっという間の1時間。
久しぶりに無になった。
そして
輝きを取り戻したナイフ。
切れ味はバツグンだ。
もしかしたら、新品の時よりも切れるかもしれない。
手で持った紙でも縦にスパッと切れる。
まだ紙しか切っていないが、オレのワイルド欲求は多いに満たされたのだった(笑)
2つ目。
何年か前から、燻製が気になっていた。
キャンプ上級者が作る、男の料理的なワイルドなイメージだ。
しかし、煙が出るので住宅街ではなかなか難しい。
先日、日帰りでキャンプに参加したので、初めて燻製をやる事にした。
ホームセンターのキャンプコーナーを物色すると、なんと600円くらいで、段ボール箱と金網の燻製キットが売っていたので即購入。
これは、折り畳まれているので、嵩張らないし、持ち運びも楽だ。
あと、桜のチップを固形にしたものと、ガスボンベに取り付けるタイプのバーナーも購入。
これだけでいいのかと拍子抜けする。
「ワイルド」の真逆にある「お手軽」な感じだ(笑)
今回のキャンプでは、土地のオーナーがテントも張ってくれていたので、そのテントの前で燻製をスタート。
定番のベーコンとチーズ、子供用にポークビッツ。
初めてやってわかった事は、横の扉を調整しながら、上手く空気を送り込んでやることが重要だ。
当たり前だが、内部の空気が無いとウッドチップは消えてしまう。
90分程度、途中、火が消えたりしながらも、なんとか完成し、他の参加者に食べてもらった。
えー、もらっていいの?
というみんなの笑顔が嬉しい。
美味しい!
というみんなの言葉に心の中でガッツポーズ(笑)
知らない人とも仲良くなって、
「燻製」が人と人とを繋いでくれた。
大袈裟かもしれないが、なんかいい空気が流れたような気がした。
自分ではひとつ食べただけ。
振り返って考えてみると、燻製したいと思った理由が「ワイルド」な何かがしたかっただけだから、自分で食べる事はどうでも良かったのだ。
すっかり燻製にハマったオレ。
最近も、家族でロッジに泊まった際に、キットを持参。
2時間たっぷり燻製して、みんなに無理矢理勧めたのだった(笑)
結論。
オレは、まだオレのままだ。
当分「ワイルドなオレ」にはなれそうにない(笑)