鮎川誠さんの思い出
あんなカッコイイ人、そうはいない。
あんなやさしい人、そうはいない。
あんな奥さんラブな人、そうはいない。
仕事を含めて全部で4、5回お会いした。
始めて会ったというか見掛けたのは、20年前。表参道のギャラリーでやっていたボブ・グルーエン写真展だった。
仕事終わりに、当時原宿にあったローリングストーンズ専門店の店長と一緒に観に行ったら、鮎川さんとシーナさんに出くわして、ちょっと挨拶して、『おお!カッコイイ』と思ったものだ。
70年代のロックスターたちを撮りまくっていた、ボブの写真は見応えがあったが、それよりも鮎川さんと会った衝撃の方が大きかった。
そのあと、ローリングストーンズ専門店の何周年かを祝うオールナイトギグを渋谷オンエアで企画した際に、ご出演いただいた。
ズボンズやニートビーツや、THE BAWDIESなんかと一緒に楽しい夜にしてくれた。
その後、ラジオ収録などのお手伝いでもお会いした。
そして、忘れられないのは、プライベートでお会いした『ポカリスエット』のCM撮影だ。
福山雅治のスタンドインをしていたオレに声を掛けてくれて嬉しかった。
テスコ デル・レイをぶら下げたオレを見て、「おー、懐かしい~、オレもデビュー前は、テスコ使ってたんだよ~、今、壁紙にしてるんだ」
そう一気に笑顔で話してくれた。
オレは、壁紙?と一瞬思ったが、鮎川さんが書いた『DOS/V ブルース』を読んでいたから、パソコン好きなことを思い出し、そっかPCの壁紙かとすぐ理解した。
そのときのことを書いたブログはこちらです。
今でも鮮明に覚えていることがある。
そのCMは都内のある工場の屋上に鮎川邸のセットを組んで撮影したのだが(福山が鮎川さん家に遊びに来てポカリを飲むというストーリー)、その鮎川邸の内装と小道具の数々が素敵だった。
鮎川さんも、こんなカッコイイ部屋に住んでないと笑っていたっけ。
中でもオレが注目したのは、ギター。
鮎川誠は、ギブソン レスポールカスタム ブラックビューティー1本を長年愛用しており、ライブの汗や熱気をまとったギターは錆びたり塗装が剥げたり、外観は色々とダメージを受けているように見えるのだが、それをほぼ再現したギターが置いてあった。
小道具さんってここまでするんだと思った。
しかも、それは鮎川さんが使用するわけでもなく、部屋のインテリアとしてそこにあった。
彼はいつものギターを使い、CM撮影は行われた。
途中、監督からお二人で自由に弾いていてくださいとの注文があり、フリーセッションが始まった。
驚いたのは、福山雅治はギターが上手いということだ。
ついつい、二枚目俳優として見てしまいがちだが、元々はロック好きな長崎の少年で歌手を目指して上京したとのこと。
ギターもかなり好きらしい。
そういえば、思い出したことがある。
ちょっとした収録の合間に、二人の会話が聞こえて来た。
福山「鮎川さん、車何乗ってるんですか」
鮎川「車、乗ってない。昔はアメ車とか乗ってたけど。駐車場も高いしね」(もちろん博多弁で)
福山「・・・そうなんですか」
そのとき、福山はちょっと気まずそうな顔をし、鮎川さんは笑顔だった。
今、思い出しても鮎川さんは、いつも笑顔で話し易いいい人だった。
世の中には、いつも不機嫌そうで話し掛けづらい人も多い。
そういう人は、逆に弱さを見せているとも言える。
鮎川さんから学ぶべきことは多かった。
繰り返すが、鮎川さんは、いつも何か楽しそうだった。少年の様だった。
マシンガンのようにギターを弾いている時もそうだが、普段も同じ。
飄々としているのだが、ニュートラルでオープンマインドで、ハッピーオーラのある人だった。
ロッカーであんな人、そうはいない。
あなたの素敵なところ、忘れません。
天国でシーナさんと楽しくライブしてください。
Thank you ! ☆