Ryu's Rock Life Blog

シンガーソングライター、ボーカリスト、ボイストレーナーとして活動するRyuのブログ

フェンダーUSAプレシジョンベースがオレの所にやって来た!

人生には思いがけない事が起こるものだ。

例えば、誰かからの予期せぬプレゼント。

「えー、いいんですか? ホントに?ホントに?」

そう聞き返してしまうような、そんな経験は無いだろうか。

誕生日でもなんの記念日でもない、普通の日に突然天から降ってくる様な感じ。

それをくれる相手は、オレが喜ぶだろうと想像して笑顔で贈ってくれる。

『有難い』 とはこういう事を言うのだと思う。

先日もそんな事があった。

 

 

その日は、親戚の家の片付けを手伝いに行っていた。

久しぶりにおじさんに会った。

「古いレコードを売りに行こうと思ってるんだ。幾らにもならないと思うけどね」そう言いながら、70年代ロックのアルバムを纏めながら笑っていた。

おじさんは、昔、バンドをやっていたらしい。

あまり語らないが、担当はベースで、ヤマハのコンテストに出場経験があり、夜のヒットスタジオで誰かのバックバンドで出演したこともあるらしい。

 

部屋は、まず押し入れを空っぽにしたらしく、至る所にいろんなものが転がっていた。

その中に、楽器やアンプもあった。

「そこのベース、ケースから出してみて」

おじさんに頼まれ、ケースから出したベースにはFenderの文字があった。

おお、いい色になってるな~と目を細めるおじさん。

元々のボディカラーはホワイトで、経年変化でクリーム色になっていた。

シド・ビシャスが使っていたのと同型同色のプレベだった。

フェンダーじゃないですか、もしかしてUSAですかと聞くと、ファンダージャパンはまだ無かった時代だよとのこと。

その発言、なんだかカッコイイイイイ!! そう思っていると。

 

「これ、貰ってくれないかな。使うでしょ。出来れば売らないで引き継いで欲しいな」

 

 もう、びっくり。

聞くと、今の家にはギターがあって、ベースはもう弾かないからと。

 

「え~!!いいんですか」何度も何度も確認をして、オレはそのベースを貰うことにした。

いや、正確に言えば引き継ぐことにした。

 

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ベース。

オレは、バンドを始めた頃からボーカル担当だったから、アコギやエレキギターをぶら下げて歌うことはあったが、ベースをぶら下げてライブをやった事は無い。

しかし、ベースが上手いミュージシャンとバンドをやったことは沢山ある。

 彼らのカッコ良さはよく知っている。

エレキベースを形容するときに『地を這う重低音』とか『唸るベース』などと言うが、楽器自体、バンドのまとめ役的立場で、無くてはならないものだし、何か男臭いワイルドなイメージを内包している。

 

ここで、好きなベーシストを思いつくままに挙げてみよう。

 

レミー・キルミスター

ポール・マッカートニー

フリー

ダフ・マッケイガン

 

うーん、やっぱり一番好きなのはモーターヘッドのベースボーカル、レミーだな。

レミーは、一言で言えば変わったベーシストだ。

ベースと言えば、単音弾きが多いが、彼はルートの音と5度の音を一緒に鳴らす。

ギターでも使われるパワーコードと呼ばれるヤツだ。

それを爆音でかき鳴らしながら、吠える。

 

彼は近年亡くなったが、以前のインタビューでこんな感じで答えている。

『本当はザ・フーのベーシスト ジョン・エントウィッスルになりたいんだが、出来ないし、この世に彼は二人要らないからな』

うんうん、そういうことだよなと納得する。

自分じゃない人には憧れてもなれる訳じゃ無い。

自分は自分って割り切って、自分のカラーで自由にやって行くに限る。

 

また、彼の左腕には「Born to lose, Live to win」=「負け犬として生まれ、勝つために生きる」と刻まれたタトゥーがある。

ここまで来ると、彼の言葉には嘘が無いと思ってしまう。

なんだか真っ直ぐで、いかにもロックンローラーで、駄目なトコもお茶目なトコもあって、全ロックファンが魅了される訳だ。

 

オレは20代の頃に、このレミー率いるモーターヘッドの名曲「ACE OF SPADES」をカバーしてライブで歌っていた。

主にアンコール一曲目だったような気がする。

男ウケ抜群で、ロック兄ちゃんたちが新宿アンチノックで暴れまくっていたっけ。

 

さて、ベースは与えられた。

オレはどうする?

 

とりあえず、タイトルに偽りありの『極悪レミー』でもレンタルして観ようか。

 

ベースを弾く者の第一歩として。