ギブソン ハミングバードの改造
アコースティックギターをバンドで使える様に改造する事にした。
オレのギター、ギブソン ハミングバードには、最初からL.R.Baggs Elementというピエゾピックアップが付いている。
マイルドな音色で、アルペジオをやる時にはいいが、カッティングの時はちょっとこもった感じに聞こえる。
また、バンドサウンドの中で埋もれてしまうため、ボリュームを上げることになるが、そうするとハウリングが起き易い。
練習スタジオでもハウる事が多々あり、ピックアップを変えることを決断した。
ネットで「アコースティックギター バンド ピックアップ」で検索すると、結構な数の人が同じ悩みでピックアップを変更している事がわかった。
その中でもバンドでアコギをガンガン使ってる人たちのHPやブログを参考にして良さそうなピックアップを探していくと、あるひとつのピックアップにたどり着いた。
SUNRISE S-2
音も確認していないのに、もうこれしかないと思った。
アメリカで一人の技術者が責任を持って作っているらしいそのピックアップは、高いけど音は最高だとネットではみんなが絶賛していた。
海外アーティストも使用しており、バンドの中でも埋もれず、フィードバック(ハウリング)も起きにくいらしい。
よし、ピックアップはこれに決めた!
だけど、ちょっと気になることが...
ピックアップを変えたら純正で付いていたL.R.Baggs Elementが使えなくなってしまう。んー、なんか淋しいぞと。
いい方法はないかとまたしてもネットの海に漕ぎ出すと、斎藤和義や押尾コータローがピックアップを2つ付けたアコースティックギターを使っているらしい。
2つのピックアップを曲調によって使い分けたり、2つのピックアップのレベルを調整してミックスしたものを出力しているらしい。
むむむ。
オレもそれやりたいぞ!
という訳で調べたところ、単純にギターにジャックが2つあってシールドを2本差すパターンと、ステレオ対応のエンドピンジャックがひとつあって、そこにステレオのシールド1本を差すパターンがあるとわかった。
ギターからシールドが2本出ているのは、見た目もそうだが、ステージ上で動きづらそうだ。
シールド一本で行くことに決めた。
システムはこうだ。
ギターにステレオのシールドを差し、2つのピックアップの音を拾って、
Dual Input Preamp Professional というプリアンプに送る。
このプリアンプは、これを通しただけで音が良くなると言う人もいて、プロミュージシャンの愛用者も多いようだ。
ステレオで入力した音は、ミックスしてモノラルでDIからPAに送ってもいいし、アンプに繋いでもいい。
また、ステレオ出力も可能で、2本のシールドから2台のアンプを鳴らすことも出来るのだ。
よし、これで方向性は決まった。
あとは、信頼出来る工房に改造を依頼するだけ。
ある日の東京。
原宿にある松下工房を訪れた。
25年前からお世話になっている老舗の工房だ。
ここに持ち込んだ。
「出来るとは思いますが...」
希望する改造を伝えたところ、なかなか難しいらしく、出来なかったら返金しますねと言われてしまった。祈るような気持ちでハミングバードを預けた。
ついでに、状態を診てもらい、フレットやネックも修理してもらうことになった。
きっとやってくれる筈!と楽天的なオレは、足取りも軽く、次に御茶ノ水に向かった。
ステレオのシールドを買うためである。
これが無くては始まらない。
結論から言うと、それから2時間御茶ノ水を歩き回ったが、どの店にもそういう商品は置いて無かった。頼りない太さのオーディオ用のステレオケーブルが一軒の店にあっただけだ。
ネットで調べてみると、個人製作者が販売している程度で、あまり流通していない事がわかった。
次の日、オレは新宿にいた。
もちろん、ステレオのシールドを買うためである。
御茶ノ水の楽器街に出店していない店に行ってみようと思った。
山野楽器 ROCK INN
昔、新星堂 ROCK INNだったところだ。
早速、メガネの女性店員さんに声を掛ける。
アコギにピックアップを2つ付け、どちらも鳴らす様にステレオのエンドピンジャックを付けたので、ステレオのシールド(ギターケーブル)が欲しいと伝える。
「そういう商品はありませんが、作る事は出来ますよ」
と店員さん。
素晴らしい!!
昨日の御茶ノ水はなんだったんだ。
ステレオのプラグは、これしか選べませんが、ケーブルはこんなに種類がありますよとケーブルをメーター売りしている場所へ案内された。
さらに、ケーブルを製作するスタッフに会い、ケーブルごとの性質などを聞き、ベルデンのケーブルで作ってもらう事にした。
しかも、普通は後日の受け取りだが、青森から来ていて今日帰ると話したところ、今から作ってくれるという。
優しい対応で、本当に有り難かった。
その後も、店を後にするまで、作ったものに何か問題あったらすぐ修理しますとか、とにかく素晴らしい対応だった。
もう、東京で楽器屋さんに行くならここだなと心に決めた。
そうして青森に帰り、2週間後。
遂にハミングバードが戻って来た!
流石は松下工房、改造は無事成功していた。
9V電池を必要とするアクティブのピエゾピックアップと電池の要らないパッシブのマグネティックピックアップを搭載したハミングバードが完成した。
しかも、電池切れの場合や普通のモノラルのシールドで使ったときにも音が出る様に、モノラルシールドを差すとマグネティックピックアップのSUNRISE S-2が鳴るようにしてある。
見た目は、普通っぽいけど実は...
っていうのが好きなオレにはぴったりの改造になった。
関わっていただいたお店の方々、ありがとうございました!
大満足です!!